生細胞超解像イメージング研究チーム

研究テーマ「酵母細胞を用いた膜交通研究」

酵母細胞を用いた膜交通研究

出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeは、遺伝学、生化学のいずれの研究にも適した優れたモデル系として、分泌経路の研究においても花形の地位を保ってきました。Randy Schekmanらによる分泌遺伝子の発見が、その後の分子機構の解明に大きな役割を果たしたことはよく知られています。イメージング研究においても、実は出芽酵母には大きなアドバンテージがありました。それは、ゴルジ体が層板構造を取らないという点です。このことによって、異なる種類のゴルジ槽を光学顕微鏡で個別に見分けることができ、槽の性質がシスからトランスに変わる、つまり槽成熟が起こることを明確に証明することができたのです(2006 プレスリリース)。

この酵母を用い、遺伝学と生化学そして最先端のライブイメージングを駆使して、新しい発見が続いています。たとえば、小胞輸送は、供与体のオルガネラから小胞が出芽し、細胞質中を泳いでいって正しい標的膜を見つけ、そこで膜融合して積荷を渡すと考えられてきましたが、酵母の小胞体—ゴルジ体間輸送を詳細にライブイメージングすることによって、小胞を受け取る側のゴルジ体シス槽が小胞体の小胞形成部位(小胞体出口)に接近し、接触することによって直接積荷を受け取ることを明らかにしました。このメカニズムを「ハグ&キス」アクションと名づけました(2013 プレスリリース)。

ゴルジ体の入口と出口、つまりシス側とトランス側でどのような選別が行われているのか、また槽間輸送の過程で、積荷とゴルジ停留タンパク質がどのように仕分けられているのか、次世代型SCLIM(SCLIM2)を駆使して、徹底的に解明していく予定です。また、小胞体出口においても、積荷の種類(たとえばGPIアンカー型タンパク質とそれ以外)による選別が起こっていることを明らかにし、そのメカニズムの研究も進めています(新学術領域研究 「オルガネラゾーン」)。

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