生細胞超解像イメージング研究チーム

中野明彦について

中野明彦
Nakano Laboratory
副チームリーダー

中野明彦

膜交通(小胞輸送)の世界に飛び込んで44年になりました。国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)、カリフォルニア大学、東京大学理学部、理化学研究所と職を転じながら、一貫して輸送における分子選別のメカニズムの解明に没頭してきたつもりです。

分子装置の存在すらわからなかった時代から、ノーベル生理学医学賞(2013)の対象になるほど分子機構の研究が進み、多くの問題が解決されたと考える人が多いかもしれません。

しかし、生きた細胞の中で起こっていることをありのままに観察する方法論—ライブセルイメージングを手にしてみると、これまで信じていたことの多くが、実は空想に過ぎなかったことを思い知らされています。

まだ研究者としての現役が許される何年かのうちに、自分たちの手で作り上げた高速超解像ライブイメージング顕微鏡SCLIMを武器に、これまで誰もできなかった徹底的な細胞内観察を行って、ゴルジ体を中心とする膜交通のメカニズムをできる限り明らかにしようと思っています。

趣味

スキー歴70年、ただし中野の三択(註)による10年のブランクを除く(自称インストラクター級)
スキューバダイビング歴23年、2023年末時点で350ダイブ(伊豆、小笠原、和歌山、沖縄、佐渡、モルジブ、パラオ、サン・フェリュ(スペイン)、北パラワン(フィリピン)など)
テニス歴56年(衰え隠せず)
音楽:鑑賞と演奏(クラリネット、ピアノ)
運転:自動二輪(最近は乗ってませんが)、四輪(足のいいドイツ車歴24年ーずっとSilky6ばかり7代乗り続けましたが、Mまで究めたので、そろそろCO2排出の罪滅ぼしをしようとPHEVに乗り換えました。ゴールド免許も復活です!)

(註)中野の三択については、理化学研究所男女共同参画便り No.11 (2006.12)をご覧ください。

略歴

1952 北海道夕張市生まれ(故郷のいまの惨状はただただつらい)
その後、手稲(現札幌市)、釧路で小中学生時代を過ごす
1967 父親の転勤で東京へ
1971 東京都立西高等学校卒業、東京大学理科一類入学
1975 東京大学理学部生物化学科卒業
1977 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻修士課程修了
1980 同博士課程修了(理学博士)
国立予防衛生研究所化学部研究員
1986 同主任研究官(この間、1984-1986 カリフォルニア大学バークレイ校留学)
1988 東京大学理学部講師
1991 同助教授
1997 理化学研究所主任研究員
2003 東京大学大学院理学系研究科教授
2013 理化学研究所光量子工学研究領域チームリーダー
2017 JST さきがけ「生体における微粒子の機能と制御」研究総括
JSPS 世界トップレベル研究拠点プログラム「ナノ生命科学研究所」プログラムオフィサー(現職)
2018 理化学研究所光量子工学研究センター副センター長(現職)
東京音楽大学ミュージック・リベラルアーツ客員教授(現職)
研究室旅行−山梨方面へ 2009.9 研究室旅行−山梨方面へ 2009.9 研究室旅行−山梨方面へ 2009.9 中野・東京大学最終講義 2018.3 中野・東京大学最終講義 2018.3
研究室旅行−山梨方面へ 2009.9 中野・東京大学最終講義 2018.3

受賞等

Human Frontier Science Program: Research Grant 1992, 1996, 2001
日本生化学会 J. Biochem. 論文賞 1995
井上学術賞 2000
理化学研究所重要業績表彰(S)2006
産学官連携功労者表彰・日本学術会議会長賞 2008
文部科学大臣表彰・科学技術賞 2012
日本植物学会賞学術賞 2022

産学官連携功労者受賞記念パーティー
産学官連携功労者受賞記念パーティー
2008.6

主な学会活動

日本細胞生物学会 会長(2006〜2008)、CSF編集委員長(2003〜2006)、庶務幹事(1998~2001)、運営委員(1994~1997、2000~2003、2006~2009)、理事(2016〜2020)
日本生化学会 会長(2008〜2009)、副会長(2007〜2008)、理事(2003〜2005、2007〜2009、2011〜2013)、監事(2013〜2017)
レーザ顕微鏡研究会 会長(2014~2016)
日本学術会議 会員(2011~2017)、連携会員(2006~2011, 2017〜)、生物科学分科会委員長(2006~2008、2015〜2017)、同委員(2012~2014)、細胞生物学分科会委員長(2012~2017)、同委員(2006~2011、2017〜)
生物科学学会連合 代表(2015〜2018)
国際生化学・分子生
物学連合(IUBMB)
監事(2015〜2021)
欧州分子生物学機構
(EMBO)
海外会員(2020〜)
その他(会員) 日本生物物理学会、日本分子生物学会、日本植物生理学会、日本植物学会、日本顕微鏡学会、米国細胞生物学会、米国植物科学会

学術誌編集委員等

Cell Structure and Function
(日本細胞生物学会)
Editor in Chief(2003~2006),Assoc. Editor(2006~2023),Ed. Board(1995-2003, 2023~)
Journal of Biochemistry
(日本生化学会)
Editor(2002~2005),Assoc. Editor(1997~2001),Ed. Board(1991-1996)
Molecular Biology of the Cell
(米国細胞生物学会)
Assoc. Editor(2004~)
Genes and Cells
(日本分子生物学会)
Assoc. Editor(2004〜)
Frontiers in Cell and Developmental Biology
Assoc. Editor(2022〜)
Protoplasma(Austria) Assoc. Editor(1999~2015)
Traffic(U. S. A.) Ed. Board(2002~2007)
Cell Research
(中国細胞生物学会)
Ed. Board(2004~2010)
Plant and Cell Physiology
(日本植物生理学会)
Ed. Board(2002~2005)

プレス発表・研究解説記事等

プレスリリース
ゴルジ体の一生の時空間ダイナミクス -ゴルジ体形成の足場となる膜区画を酵母細胞で発見-3 19 2024
プレスリリース
タンパク質の選別輸送の品質管理 -糖脂質(GPIアンカー)のリモデリングによる制御-5 6 2022
プレスリリース
トランスゴルジ網における積荷選別様式を可視化 -細胞内物質輸送のハブは明確に区画化されている-3 26 2021
プレスリリース
ゴルジ体の集合と分散の分子機構の解明-12 17 2020
プレスリリース
ゴルジ体とリサイクリングエンドソームは接着と解離を繰り返している-12 17 2020
プレスリリース
脂質がタンパク質の選別輸送を制御 -小胞体膜セラミドの長さが鍵-12 12 2020
プレスリリース
トランスゴルジ網の時空間ダイナミクス -積荷タンパク質の入口と出口の区画化が明らかに-7 11 2019
プレスリリース
タンパク質がゴルジ体内を輸送される仕組みが明らかに -成熟する槽内に形成されるゾーンを移動しながら輸送される-3 11 2019
プレスリリース
病原菌に対する植物細胞の防御システムを解明 12 17 2018
プレスリリース
ゴルジ体形成の足場「GECCO」-COPⅡ小胞に依存しないゴルジ体の入口-11 14 2017
プレスリリース
ゴルジ体槽成熟の分子機構を解明-COPⅠ被覆タンパク質の機能が必須-9 2 2016
プレスリリース
Sar1の生細胞内三次元局在を可視化-積荷タンパク質輸送小胞の鍵分子の限局を観察-9 2 2016
プレスリリース
躍動する光合成反応を可視化-超解像イメージングで生きた細胞の光エネルギー伝達を観察-7 15 2016
プレスリリース
コケ植物の光化学系Ⅰ複合体の集光アンテナ調節機構を解明-植物の進化と光合成調節との関連を示唆-1 20 2015
プレスリリース
ゴルジ体シス槽は小胞体に接触し積荷タンパク質を受け取る―小胞体からゴルジ体へのタンパク質輸送機構の新たなモデルを提案―4 14 2014
プレスリリース
葉緑体内部のダイナミックな構造変化を生きたまま観察-光合成調節の分子メカニズムに迫る技術として期待-1 20 2014
プレスリリース
タンパク質を見分けて運ぶp24タンパク質複合体の構成を解明-細胞外に分泌されるタンパク質を輸送する仕組み解明の足がかりに-1 15 2014
プレスリリース
ゴルジ体内のタンパク質輸送を制御する分子機構の一端を解明-新開発の顕微鏡システムによりRabGTPアーゼの転換機構を証明-11 5 2013
プレスリリース
植物の免疫メカニズムを担う膜交通分子の発見-トランスゴルジ綱の生理機能の解明-1 17 2012
日経BPムック
細胞内の輸送機構を目で見て理解したい 日経BPムック「変革する大学」シリーズ「東京大学理学部2006-2007」より
研究最前線
ゴルジ体をめぐる大論争に決着−新型顕微鏡を開発 理研ニュース September 2006より
プレスリリース
細胞小器官ゴルジ体のタンパク質輸送の大論争に決着 - 性質の違う膜を融合・分離させ変化しながら運ぶ新メカニズムを発見 - 5/15/2006
プレスリリース
細胞内のタンパク質輸送過程を人工的に再現、タンパク質を正確に運ぶメカニズムを解明  1/24/2005

エッセイ等

  1. ミーハースポーツ放浪記メントラニュースレター第4号(2005.11)に “Another side of investigator” として掲載
  2. 私の分泌研究:黎明からメントラまで蛋白質核酸酵素 増刊号「メンブレントラフィックの奔流」掲載(2008.12)
  3. [科学者インタビュー]中野明彦森山サイエンスメールに掲載(2006-2007)
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